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インタビュー連載「教えて先生!」
小林道夫 副校長先生 編(其の弐

インタビュアー:​令和五年度 PTA「緑会」会長 植田敦

小学校から大学時代の小林先生

―ここからは先生の昔のお話を中心にうかがってまいります。

それでは少し話を戻して、そもそも先生はどうして教員になられたんでしょうか?なにかきっかけみたいなものはあったのでしょうか。

 
そうですね、どうしても教職に就きたいと思っていたわけではないのですが、祖父が教育長をやっていて、祖母も教員だったので、その影響はあったかもしれませんね。

 

―なるほど。教員の血が流れてるんですね(笑)
小さいころに憧れた先生とかいらっしゃったんですか?

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そうですね、小学校の高学年の時に、蝶々の採集を勧めてくれた担任の先生がいたんです。
僕の出身は富山なので、本当に自然が豊かだったんですよ。

毎週先生の旦那さんが車を運転してくれて、僕ら生徒何人かとよく山に蝶々を捕まえに行ってたんです。
でも、カブトムシとかクワガタには興味があったんですが、蝶々は特別好きとかではなかったんですけど、
みんなで山に行ったり、そこでお弁当を食べたり、先生のいろいろな話を聞いたり、そういうことが何かすごく楽しくて、蝶々の採集よりもそっちが目的でしたね。本当に今でもその先生のことはよく覚えています。とてもいい思い出です。

 

―やはりいい先生との出会いがあったんですね。中・高では何か部活をされていましたか?

 

中学では柔道、高校ではレスリングをしていました。県大会くらいまではいきましたね(笑)

―あー、確かに耳がわいていますね。

 

そうなんです。このカリフラワー耳を見て祖母が悲しんでたので、昼休みとかに注射器でよく耳の血抜きをしていましたよ(笑)

 

―柔道・レスリング選手「あるある」ですね(笑) 大学では何を学ばれていたんですか?

 

もちろん教育学部ではあったんですが、ちょうどそのころアメリカでは、教育における知識の伝達という部分はコンピューターが人間の代わりになって、生身の教員は生徒に経験・体験をさせたり、ディスカッションをさせたりするような役割分担をするような考え方が出てきて
それとは別にまたコンピューター・サイエンスという分野も発達し始めてきたところだったので、私もコンピューティングについて学んでいました。

 

―神大附属はICTにおいて全国的にもかなり早くから取り組んでいましたよね。
小林先生はずっとその中心というか、ほぼ一人でその役割を担ってきていらっしゃいますもんね。 

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「宇宙エレベーターロボット競技委員会」の立ち上げと

​それのもとになった、アドミッションポリシー

神大附属の初代校長である大澤先生は、今でいうICT分野を約40年前から重要と考えておられていたので、私の勉強していたことがこの学校で役に立ちましたね。

―先生は一般にコンピューターというものが認知されるより前から早い段階でコンピューティングについて学ばれていたのですね。それが宇宙エレベーターをやっていることともつながってくるのでしょうか?

そうですね。宇宙エレベーターロボット競技委員会というものを設立して2013年から競技会を行っていて、今では全国で予選会もやるほど規模が大きくなり、小学生も参加する大会になっています。
 ※ 宇宙エレベーターロボット競技 https://space-elevator.tokyo/ 

 ※上記写真は小林先生の若かりし頃(宇宙エレベーターロボット競技委員会HPより)

ーそもそも宇宙エレベーターをやろうと思ったきっかけは何だったんでしょうか。

そうですね。文部省も推進しているSTEAM教育※というものをやりたくて、また最近日本が弱くなっている「モノづくり」分野や、プロジェクト型のテーマというものを何かできないか模索していて、
たまたま宇宙エレベーター協会の方から連絡があり、私が行っていたレゴのプログラミング教育と組み合わせて始めました。
第一回の競技会からウチの物理の佐藤先生が副委員長で手伝ってくれています。

 ※科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)の5つの分野を統合的に学ぶ教育のこと

なるほど、宇宙エレベーターという題材をトリガーにして、学校でいうところの様々な教科を横断的に学べるとてもいい企画ですね。

そこが目的のひとつなんです。
それぞれの教科にとらわれず、さまざまなことを複合的に学べる環境をつくることが重要だと考えています。
あとは、競技に勝つことだけが重要ではなくて、失敗も含めて学べるところもいいところです。みんな最初からうまくはいきませんから。

失敗を重ねて成長していく。わからないことを自分で調べたり、チームの仲間と話し合ったりと、問題解決力やコミュニケーション能力、想像力の育成にもなります。

これは宇宙エレベーターの話なんですが、これと同じようなことを神大附属の全生徒に、授業や行事、課外活動や部活の中で身に着けられるように工夫しています。


それは、本校のアドミッションポリシーである、


 ・基礎学力とともに、「なぜ」「どうして」と考える姿勢を身につけている
 ・学んだ知識や技能を活用して、粘り強く取り組む姿勢を身につけている
 ・教科学習はもとよりさまざまな教育プログラムに取り組み、仲間とともに成長しようとする意欲がある

 

を体現することであり、附属のスローガン「自ら考え、判断し、行動できる人へ」につながっています。


今度AIがますます発達していくからこそ、このスローガンが将来を生きていく生徒に必要な金言だと思っています。

 


小林先生の学生時代や、なぜこの学校が早くからICTを導入できたのかがよくわかるお話でした。
また、今は全国に広がっている宇宙エレベータロボット競技会の創始者である先生がどういう思いで始めたのか、その思いもまたこの学校の精神と密接につながっていることがよくわかりました。
インタビューは副校長当時(2023年)にさせていただきましたが、新校長となった小林先生の普段は聞けないお話を伺う貴重なインタビューとなりました。

神奈川大学附属中・高等学校  PTA緑会

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