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インタビュー連載「教えて先生!」
教務部長 佐藤克行先生 編(其の参)

インタビュアー:​令和五年度 PTA「緑会」会長 植田敦

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物理学から紐解く遠距離恋愛 !? ただの言い訳 !?

​ニュートンの万有引力から導き出す、恋愛引力定数

―さて、ここからは私、PTA会長の植田と佐藤先生がいつも長時間話し込んでしまう、物理の世界に突入しましょう。

 

大丈夫ですかね。すごいマニアックな話になりますが。

​ー高校物理なんて、僕から言わせれば古い話ですよ(笑)まさに古典です。

量子力学を学んでしまえば、古典物理は、π(パイ)=3みたいな大雑把な計算結果をだすもので、自然法則から言えば正確じゃないですからね。

量子力学をはじめ、植田会長は本当に物理をよくご存じですよね。

​私が驚いたのは、仏教と物理が似てるっておっしゃっていたことで、わたしも本当にそう思っていたんですよ。

​ー一応、インドやネパール、タイまで行ってまじめに仏教を学んでましたからね。物理と仏教理論というのは本当に似ていますよ。特に量子の方ですけど。

​いや、まさに私も同意見なんですが、今回はそれではなく、「恋愛」を学校で学ぶ物理法則の数式を使って定義できるか、みたいな半分冗談で、半分本気のお話です。

佐藤先生の面白い授業では、モンキーハンティング問題を実際に機材を作って説明したり、レゴ使って物理を説明したりと、生徒に対して物理に興味を持ってもらえるような授業、そして、それが社会でも使えるんだよ、というメッセ—ジ性のある授業をされています。

今回も、生徒が興味を持ちやすい「恋愛」を題材にして、”物理は身近な世界にある”という、佐藤先生の個性あふれる物理理論です。

​以降は論文形式になっていますので、理系があまり得意でない方はその雰囲気だけでも味わっていただければ幸いです。

​自分の遠距離恋愛が1日も持たなかったことを、無理やり物理を使って言い訳している、と感じられた方は高校物理卒業です(笑)

 

ニュートンの恋愛方程式

1.内容

 万有引力とは、物体間に働く引力で、その物体の質量に比例し、物体間の距離の二乗に反比例する力である。地球上の物体が地面に落ちるのも、月が地球の周りを回るのも、地球が太陽の周りを回るのも、銀河の形成にいたるまで、すべて万有引力によるものである。つまり、万有引力は宇宙のあらゆる物体間に働いており、宇宙の構造と運動を決定づける基本的な力の一つなのである。他に強い力、弱い力、電磁力があるが、強い力や弱い力は、原子内サイズと力の及ぼす範囲が極端に狭いことや、電磁力の公式は万有引力に似ていることで、ここでは割愛して、万有引力に絞り説明を行う。

 

 物理大好きだった私は大学時代に、この万有引力を人間の感情にも利用できるのでは、と考えた。ビッグバン理論によると、約137億年前に、全てはプランク長(約 1.6×10−35〔m〕)の点から宇宙が始まり、光速を越える爆発的な拡大により、現在の世界があると言われている。そう考えると全ての元は点であり、宇宙の構造と運動を決定づける法則が我々生命においても、利用できないと考える方が難しいのでは、と考えるようになった。

 万有引力の公式を見てみよう。

 

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Fは引く力である。その引力Fは、何で決まるかというと、分子と分母に注目してもらいたい。分子のとは、各物体の質量である。質量が大きければ大きいほど、引く力は大きくなる。分母を見てみよう。分母のrは2物体間の距離であり、引く力は、距離の二乗に反比例する。

Gは万有引力定数と呼ばれる約6.674×10−11という値であり、変化する量ではない。

 

この万有引力の公式を、恋愛に当てはめてみよう。Fは魅く力である。その魅く力Fは、どのようなパラーメータをもっているのか、見ていこう。分子のとは、二人の思いである。思いが大きければ大きいほど、魅く力は大きくなる。分母を見てみよう。分母のrは二人の距離であり、魅く力は、距離の二乗に反比例する。

Gは、恋愛に関して集めたサンプルが少なく、恋愛引力定数を見出すにいたってはいないが、コミュニケーションツールにより、恋愛引力定数の値は社会や時代により、値が変化していっているのでは、と考えられる。

 また、恋愛という視点でみると、一人でできるものではなく、二人の距離と、二人の思いの大きさにより、魅く力が変化する。思いに目を向けると、自分の思いがいくら大きくても、相手の思いが小さければ、大きな魅く力とはなりにくい。また自分の思いがほぼ無限大と感じる大きさの場合でも、相手の思いが0であれば、魅く力としては0となってしまう。なんとも悲しい現実も数式で表されている。

自分の思いと相手の思いに、マイナスという符合をつけるかどうかは悩んだが、マイナスの感情があれば、魅く力でなく退ける力になる。自分がプラスで、相手がマイナスの場合、避けられているように感じたことがあるのは、私一人だけではないだろう。ただ、この場合にはさらに難しい状況がでてくる。自分がマイナスになった場合、数式上では(自分の思い)×(相手の思い)=+ とプラスになってしまう。

女子「あんたなんか、だいっきらい」 男子「オ、オレだって、おまえなんかきらいだ」こんな状況であれば、退ける力同士が掛け合わさり、場合によってはプラスに転じることもあるのではと感じてしまう。このように感情にマイナスをつけるかどうかは、議論の余地があるように思える。私自身は、好きの反対は嫌いでなく無関心(0)という考え方が、万有引力出自と考えると、一番しっくりくる。

 次に分母の距離の二乗を考えてみよう。こちらは二人の物理的距離や心理的距離の考え方もあるが、物理的距離にしぼって当てはめて考えたい。一言で言うならば「遠距離恋愛は不可能」ということである。私自身も23歳の時に、滋賀県大津市と東京都新宿という距離450kmで実験を行ったが、1日ともたず不可能であった。魅く力には、距離の影響はとても大きいと感じる。これは生命であれば子孫を残す、という1つの宿命から湧き出る感情であることからも、触れ合う機会が減ってしまう距離は、大きな障壁となることは間違いない。

 

 

2.展望

 恋愛は、深い感情的な愛情と強い個人的な愛着を伴う人間関係の一形態である。学術的には、生物学的、心理学的、社会文化的な要素が複雑に絡み合う現象であり、真面目に言うと、これに単純な数式を当てはめようとする行為自体が間違っているとしか言いようがない。

ただ生物学的には、脳内の化学物質をきちんと測定することができれば、自分の思いと相手の思いを数値化できるのでは、考えている。特にドーパミン、セロトニン、オキシトシンなどの神経伝達物質は、恋愛感情を生み出し、維持する役割をしている。これらの化学物質の量や変化量について、測定できるようになると、人が恋愛に落ちる時を事前に予測することができるはずである。

未来の恋愛には、頭に脳内物質のゲージがついており、対象者へ近づいたり、コミュニケーションをはかることにより、Fの値を変化させていくシーンが見られるのかもしれない。

 

神奈川大学附属中・高等学校  PTA緑会

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